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3.製品デザインの内容を秘密にする 秘密意匠制度
意匠出願がめでたく意匠登録されたら意匠権が発生します。その一方で意匠登録されると意匠公報によって、登録されたデザインがすみやかに公開されます。その理由は、もし世間の人が意匠登録の内容を知らなければ、そうとは知らずに意匠権の侵害をしてしまう恐れがあるためです。
意匠登録されたデザインの新製品が、意匠登録のときまでに販売されている場合にはあまり問題ありません。しかし自動車業界などでよくあることですが、販売予定の数年前に、既に製品デザインが完成しており、その時点で意匠出願する場合があります。
そうすると新デザインの新製品を発表する前に意匠登録となってしまい、意匠公報によってその内容が世間に知られてしまいます。新デザインは初めて見るときが最もインパクトが大きいので、これは非常に困ったことになります。
これを解決する方法として、秘密意匠制度を使えば、意匠登録になった後も、意匠の内容を公開せずに秘密の状態を保つことができます。ただしその期間は、登録後3年を最長とします。
このように秘密意匠制度は、意匠登録のときに、まだ新デザインの製品が発売になっていないときに大変ありがたい制度なのですが、その分、デメリットもあります。まず、秘密意匠の請求には特許庁費用が余計にかかります(5,100円:意匠法67条別表二)。また意匠登録の内容を秘密にしている期間に、そのデザインの模倣侵害品を見つけた場合には、その侵害者に対して販売をやめろという請求(差止請求)などをするには、その前に、自分がその意匠の権利者であるという証明書の提示つきで警告してからでないと行えない、という少し面倒な手続きを取らなければなりません(意匠法37条3項)。
〔秘密意匠制度の関連条文〕
- 意匠法14条1項
- 意匠登録出願人は、意匠権の設定の登録の日から三年以内の期間を指定して、その期間その意匠を秘密にすることを請求することができる。
- 意匠法37条1項
- 意匠権者又は専用実施権者は、自己の意匠権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
- 意匠法37条3項
- 第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に係る意匠権者又は専用実施権者は、その意匠に関し第二十条第三項各号に掲げる事項を記載した書面であつて特許庁長官の証明を受けたものを提示して警告した後でなければ、第一項の規定による請求をすることができない。
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