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1.特徴ある"部分"のデザインを生かす部分意匠制度
工業製品のデザインでは、その製品の機能や使いやすさの面から、大体の全体デザインが決まってしまうことはよくあります。
例えば、製品がPETボトル(注1)の場合も、持ち運びやすさや飲みやすさといった機能を満足するには、大体の全体デザインは決まってしまいます。
そんななかで、新しいデザインの特徴を出すとしたら、特定の部分に特徴的なデザイン創作を加えていくことになります。
左図(注2)のPETボトルの例では、「ボトルの下半分から底手前まで」の部分に、古代ローマ建築物の柱(?)のイメージを取り入れた独創的で新しいデザインを加えたものとします。
そうするとその部分は、デザイン上、特に注目してほしい部分といえます。
このような場合、デザイン上の注目すべき部分を部分意匠として意匠出願することで、デザインの中でどの部分に特徴があるのかを効果的に示すことができます。
特徴的な創作部分であれば、どんな部分を指定しても部分意匠にできるかというと、そういう訳ではありません。
部分意匠できる部分は、他の部分と対比できる創作の単位とする必要があります。
つまり部分意匠として指定する範囲には一定のまとまりが求められます。
上図のPETボトルでいうと「キャップを取り付ける部分」「ボトル上半分」「ボトル下半分」「ボトル底部」はいずれも一定のまとまりのある部分といえるので、それぞれの部分を部分意匠とすることができます。
反対に「ボトル上半分」の一部と「ボトル下半分」の一部にまたがった部分などは、一定のまとまりがないので、部分意匠の部分にすることができません。
なお、部分意匠制度を利用しない通常の意匠のことを、部分意匠との対比から全体意匠と言うことがあります。
注1:PETボトルの意匠法的な呼び方(物品名)は「包装用容器」といいます。
注2:図の出典:特許庁「意匠審査基準」より。ただし着色はオリジナル。
〔図面上での部分意匠の表わし方〕
意匠図面上で部分意匠として登録を受けたい部分を示す方法としては、次のような表記方法があります。
- A.部分意匠としたい部分以外の部分の稜線を破線で描く
- B.部分意匠としたい部分以外の部分を薄墨で塗りつぶす
いずれの方法でも部分意匠としたい部分“以外”の部分を処理する点にご注意ください。
さきほどのペットボトルの例で、部分意匠の部分を示したのが右図になります。 このように表示することで、この意匠出願は「ボトルの下半分から底手前まで」の部分を部分意匠としての保護を求めていることがわかります。
〔部分意匠制度の関連条文〕
- 意匠法2条1項
- この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第八条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。
- 意匠法施行規則様式6〔備考〕11
- 物品の部分について意匠登録を受けようとする場合は、8から10まで及び14に規定される画像図(意匠法第2条第2項に規定する物品と一体として用いられる物品に表示される画像を表す図をいう。以下同じ。)において、意匠に係る物品のうち、意匠登録を受けようとする部分を実線で描き、その他の部分を破線で描く等により意匠登録を受けようとする部分を特定し、かつ、意匠登録を受けようとする部分を特定する方法を願書の「【意匠の説明】」の欄に記載する。
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