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一般公開後に意匠権を取得するには
予想外に好評だったので、模倣品対策として意匠権を取ることができないか?
新製品のデザインを一般公開した後になって、意匠権を取っておけばよかった、と反省してしまうことがあります。例えば…
- 新製品を販売してみたら予想外に売上が好調だった
- 新製品を試しに見本市に出品したら意外と好評だった
- 新製品カタログをつくって配布したら予想を超える予約をもらった
- マスコミのTV取材で新製品のデザインを披露した
- 自社ブロクで新製品の予告紹介をしてしまった
意匠権を取得するためにはその製品内容を一般公開する前に意匠出願するのが原則です(新規性)。
しかし上のようなケースでは、その製品デザインを公開した日から6ヵ月以内に意匠出願すれば、例外的に意匠権を取得することができる場合があります(新規性喪失の例外適用)。
ただしあくまで例外的に認められているだけなので、例外適用に必要な要件をクリアしなければなりません。難しいのが、
- 「6ヵ月以内」に
- 「意匠出願したデザインの製品」を
- 「自らの意思」で
公開したことを客観的に証明しなければならない点です。
具体的に何を証明すればいいのかは、特許庁が2012年11月に公表した「意匠の新規性喪失の例外規定についてのQ&A集」をご確認ください。
以下では、ケースごとに証明しなければならない事項について、上記Q&A集のポイントを紹介します。
新製品の販売
意匠出願したデザインの新製品を販売してしまったような場合には、次の1〜3を証明しなければなりません。
- 販売日
- 販売場所
- 販売者名
- 販売されたもの
「販売されたもの」の証明は、販売された商品のデザインが分かる写真を添付します。
販売事実の証明は、当日購入したお客様や店舗の責任者にしてもらうのが適当とされています。
また「販売店名」「販売日」「商品名」が記載されたレシート(領収書)の控えなどは客観性が高いと思われます。
その他にも、販売当日の様子を撮影した日付入りの写真なども使えるかもしれません。
展示会・見本市・博覧会・新製品ショウなどへの出品
意匠出願したデザインの新製品を見本市に出品したような場合には、次の1〜5を証明しなければなりません。
- 展示会名
- 主催者名
- 開催日
- 開催場所
- 出品者名(公開者名)
- 出品(発表)されたもの
1〜5は通常、開催された展示会や見本市の大会パンフレットなどを証拠にすることができます。
TV取材
TV取材を受けたような場合には、次の1〜5を証明しなければなりません。
- 放映番組又は広告名
- 放映者
- 放映日
- 放送局
- 発表者名
- 放映されたもの
意匠出願したデザインの新製品についてTVなどマスコミ取材を受けた場合は、テレビ番組の雑誌、新聞のラテ欄など証拠書類に使える多くのメディアがあることが多く、またご自身がTVに取り上げられたら、その番組の録画もされていることでしょうから、TV取材の証明はあまり難しくないと思われます。
カタログ掲載
意匠出願したデザインの新製品をカタログに掲載した場合には、そのカタログを提出します。 カタログには通常発行年月日が記載されていると思いますが、もし記載されてなかった場合は、カタログ発行日が分かる書類も併せて提出します。
インターネット掲載
意匠出願したデザインの新製品を自社ブロクなどインターネットに掲載した場合には、次の1〜4を証明しなければなりません。
- 商品掲載ページが一般に公開されているページであること
- 商品掲載されているサイトのトップページ
- 商品掲載ページ
- 掲載日時
「掲載ページが一般に公開されている」とは、例えば掲載ページへのリンク貼られていて検索サイトで誰でも検索可能であるようなことです。
なお表示される順位が下位であることは問題になりません。
掲載日時は、始めてその新製品を掲載した日が分かる証拠が必要になります。
インターネットによる公開事実の証明は、そのホームページのプロバイダーに証明してもらうのが適当とされています。ホームページの作成や管理を専門業者に委託しているのであれば、その委託業者による証明でもよいでしょう。
一般的に、インターネットによる公開の場合、掲載を開始した日を特定することが難しいです。
そこで新製品を公開するときに、今後その新製品のデザインで意匠登録出願するかもしれないことが予想されるのであれば、公開日にその掲載画像をプリントアウトして、その日のうちに公証役場などで確定日付を取得しておくことや、第三者機関が発行するタイムスタンプを利用するなどの事前の対応策を取っておくことが有効とされています。
出願人と公開する者が異なる場合
出願人と公開する者が異なる場合とは、例えば製品デザインはABCデザイン株式会社の従業員が創作し、意匠出願はABCデザイン株式会社が行っているけれど、実際に製品を販売したのはXYZ商店であるような場合です。
このケースでは、ABCデザイン株式会社が「自らの意思」で公開したのかが疑われます。
そこでABCデザイン株式会社としては、上記の証明に加えてさらに「XYZ商店はABCデザイン株式会社の指示に従って、新製品○○○○を販売した」という証明書をXYZ商店に作成してもらうことが必要です。
「客観的な」証明をどうやって行うか
意匠出願したデザインの新製品を実際に販売していた事実をどうやって客観的に証明するかは難しい問題です。
自分自身で書いた宣誓書(例えば「株式会社XXは20XX年XX月XXに、XX商店で意匠出願番号XXの意匠に係る商品を販売したことに相違ありません。株式会社XX代表取締役XX」といった書類)などを提出しても、「客観的な」証拠とは取り扱われません。
これは自分の都合のいいように事実を改ざんして作成することもできると考えられるからです。
ただし他の客観的な証拠を補助する証拠としては認められます。
一方、当日製品を購入いただいたお客様や店舗の責任者に証明書を書いていただいたものは第三者による証明ということになるので、証拠の客観性が高くなります。
またレシートの控えなどは、自社が販売の際にレジ打ちすることで発行されたものであったとしても、このような書類は新製品の売買の時に発行された蓋然性(確からしさ)が高いので、客観的な証拠として取り扱われやすいです。
むしろこの場合は、レシート控えに品名が記載されておらず、金額しか表示されていないようなものの場合に、本当にその新製品の売買の証拠であるかが問題なります。
できるだけ一般公開前の意匠出願を!
このように「新規性喪失の例外」の適用が認められるには、必要となる証拠書類をすべて集める必要があります。
もし必要な書類を集められなかったら意匠登録は認められません。
したがって安易に新規性喪失の例外適用を利用することは避け、 あくまで一般公開後の意匠出願は非常手段であるとの認識で、できるだけ製品デザインが秘密の状態にあるうちの意匠出願を行うことをお勧めします。
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以上、意匠関連の説明をしてきましたが、ご不明な点や、更に詳しく知りたい点などございましたら、無料でお問い合わせをお受けしております。
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