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意匠法の専門用語の解説と例文

(1) 専門用語の解説

用語:「意匠○○」関係

意匠権
登録意匠とこれに類似する意匠を独占排他的に実施できる権利
意匠登録
特許庁が、意匠出願された内容を意匠原簿に登録する行為
意匠出願
意匠登録を求めて、特許庁に願い出る行為;正式には「意匠登録出願」

用語「意匠○○」関係の更に詳しい解説は、「意匠登録とは?」をご参照ください。

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用語:主体(つまり「人間を指す言葉」)関係

創作者
製品デザインを創作した人
製品デザインを「創作」するとは、ただ単に製品のデザインをしたのではなく、今までにないオリジナルな製品デザインを「創り出した」といった意味合いです。
出願人
意匠出願を行う(行った)人
製品デザインの創作者は、そのデザインについて意匠出願すれば出願人になれます。創作者以外でも、創作者から意匠出願する権利(正式は「意匠登録を受ける権利」)を譲り受けて意匠出願すれば出願人になれます。よくあるのは、会社の従業員がデザインの創作を行った場合、会社がその従業員から意匠出願する権利を譲り受けて意匠出願するケースです。
それ以外の者(例えば、創作したデザイン情報を盗んだ産業スパイ)も、意匠出願すれば形式的には出願人になりますが、この場合は「冒認出願」といって、意匠出願が拒絶を受けることになります。
意匠権者
意匠権の所有者
意匠出願が意匠登録されると、出願人は意匠権者になります。
弁理士
他人の意匠出願など特許庁への手続行為を、代理して行える資格を持つ者
なお、弁理士が所属する事務所は、意匠関係を中心に扱っている事務所であっても、「意匠事務所」や「意匠権事務所」と名乗っている事務所は少なく、「特許事務所」などの名称あることがほとんどです。(注:検索サイト「意匠事務所」の語で検索を行うと「デザイン事務所」が多くヒットします。)

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用語:「審査関係」関係

審査官
意匠出願された内容を意匠登録してもよいかどうかを審査する特許庁の専門職員
査定
審査官による審査の最終判断
登録査定
意匠登録できるという審査の最終判断
拒絶査定
意匠登録はできないという審査の最終判断
拒絶理由
意匠登録できない具体的な理由
拒絶理由通知
審査官が、「拒絶査定」を行うに先だってその拒絶理由を出願人に通知する行為
拒絶理由通知を受けても、そのまま「拒絶査定」になるものではありません。出願人が、意見書や補正書でその拒絶理由通知に対応することで、審査官は改めて審査し直して「登録査定」をする可能性は十分にあります。
意見書
拒絶理由に対して出願人の主張を述べるための書類
補正書
拒絶理由に対して出願人が、意匠出願書類の記載内容を修正をするための書類;正式には「手続補正書」

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用語:お金関係

出願料
意匠出願に際して特許庁に納付する料金
意匠出願を特許事務所に依頼した場合、特許事務所の手数料特許庁へ納付する立替金の両方を支払うことになります。意匠出願のときに、この両方を合わせた金額のことは「出願費用」などといい、特許事務所の手数料を含まない、特許庁への立替金だけを意味する「出願料」とは区別しています。
成功報酬
めでたく意匠登録されたことに対して特許事務所に支払う費用;別名「成功謝金」
特許事務所の多くは、登録査定を得られたときに成功報酬をいただく料金体系になっています。これは意匠登録に失敗すると、特許事務所も成功報酬が手に入らないので、依頼を受けた意匠出願も慎重に行うであろう、という理由であると思われます。
維持年金
意匠登録後に、意匠権を維持させるために特許庁へ毎年納付しなければならない料金;正式には「登録料」
維持年金を払い忘れると意匠権が消滅しますので、毎年忘れずに払いましょう。なお、一度に数年分の維持年金を支払うこともできます。
印紙代
官公庁(ここでは特許庁)に納める費用
したがって、「出願料」も「維持年金」も印紙代のひとつです。
以前は官公庁特許庁への納金は、印紙(特許庁の場合は「特許印紙」)を使用していたので、このような名前になっています。今では特許印紙で納金することはほとんどないのですが、経理用語として使われていることから、今でもこの言葉が残っています。
印書代
書類作成の加算費用
印紙代」と言葉は似ていますが、意味は全然違います。意匠登録出願の書類の作成量が多い場合に、加算される費用です。通常は増加したページ数に応じて加算されます。
電子情報処理組織の使用料
書類を「インターネット出願ソフト」を使って特許庁に提出するための手数料
昔むかしの特許事務所では、特許庁へ書類を提出するとき書留などを利用して、郵送で提出していました。この頃の書類提出には郵送料を頂いていました。
今の特許事務所では、ほとんどの書類をインターネットを利用して提出することができます。
インターネットでの提出の際、少し前まではISDN回線による専用の通信用パソコンが必要でした。その導入費用や維持費用を補うため、特許庁へ書類提出する際には電子情報処理組織の使用料を頂いておりました。
今では、ISDN回線による提出が廃止され、「インターネット出願ソフト」を利用した通常のインターネット通信で提出しています。特許事務所のなかには、ISDN回線時代の名残で、この電子情報処理組織の使用料を「インターネット出願ソフト」の利用料として徴収しているところもあります。しかし、このソフト自体は特許庁が無料で配布しているので、今となっては少し疑問な費用項目ではあります。

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(2) 専門用語を使った例文

上記の専門用語を使って、新製品デザインを創り出してから、意匠権を取得するまで(或いは意匠登録されずに拒絶査定になるまで)の手続の流れを例文にしてみました。特に、それぞれの専門用語を行う主体が明確になるように「主語」を省略せずに示しています

〔製品デザインの創作から意匠出願までの手続の流れを説明した例文〕

私は、新製品に使う新しい製品デザインを創作した。
   したがって私は、そのデザインの創作者である。
   私は、その製品デザインを意匠権で保護するために、特許事務所に相談した。
   特許事務所弁理士は、私の創作した製品デザインに関する意匠出願(正式は「意匠登録出願」)の書類を作成した。
   特許事務所弁理士は、私に代わって特許庁(正式は「特許庁長官あて」)に意匠出願を行った。
   私は、意匠出願をしたので、出願人となった。

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〔意匠出願から意匠権取得までの手続の流れを説明した例文〕

特許庁の審査官は、私の意匠出願を審査して、内容に問題がなかったので登録査定をした。
   私は、特許事務所からの連絡で、登録査定を受けたのを知った。
   登録査定が得られたのを受けて、特許事務所は、私に成功報酬を請求した。
   また特許事務所は、私に代わって一年目の維持年金を特許庁に納付した。
   特許庁は、私の維持年金の納付を確認したので、意匠登録した。
   特許庁が意匠登録したので、私の製品デザインに意匠権が発生した。
   私は、意匠権を取得したので、出願人から意匠権者になった。

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〔審査により拒絶査定を受けるまでの流れを説明した例文〕

特許庁の審査官は、私の意匠出願を審査して、内容に問題があったので、拒絶理由通知を行った。
   特許事務所弁理士は、拒絶理由を克服するため、補正書意見書を作成し、私に代わって特許庁に提出した。
   審査官は、意匠出願の審査を再度行ったが、拒絶理由が解消していないと判断したので、拒絶査定をした。

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拒絶査定を受けてしまった場合

拒絶査定に納得できない場合は、不服を申し立てる手段として、拒絶査定不服審判の請求、それでもダメな場合は、審決取消訴訟(裁判所への手続)を行うことができます。

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