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意匠権,意匠登録とは?

意匠権が発生するまでの流れの概略は、コラム記事「意匠権発生までの流れ」で説明しました。
   拒絶理由通知を受けることなく意匠権が発生した場合、次のような順番を辿ることになります。

意匠権?意匠登録?
  1. 意匠登録出願
  2. 審査
  3. 登録査定
  4. 意匠登録料の納付
  5. 意匠登録
  6. 意匠権の発生

こちらのコラム記事では、上の使われている「意匠登録出願」「意匠登録」「意匠登録料」「意匠権」など、「意匠○○」といった紛らわしい専門用語がいったいどう違うのか説明します。

これらの専門用語を理解するためには、むしろ上の順番を最後から逆に説明したほうが分かりやすいです。そこでまず「意匠権」から説明しましょう。

意匠権
登録意匠とこれに類似する意匠を商売上、独占排他的に実施できる権利です。
独占排他的にとは、意匠権を持っている人だけが、といった意味です。「実施」とは製造することだけでなく、販売だけすることも含まれます。
お客様が創作した製品デザインについて意匠権を持っていれば、そのデザインの模倣品,ニセモノが市場に出回ったときに、模倣品・ニセモノの製造者だけでなく、販売店に対しても、「模倣品・ニセモノの製造・販売をやめろ!」「模倣品・ニセモノが出回ったために生じた損害を賠償しろ!」と言うことができます。
つまり、意匠(製品デザイン)の権利だから意匠権というのですね。
意匠登録
特許庁が、意匠原簿に設定の登録を行う行政処分です。
そんな強力な権利である意匠権は、お客様の製品デザイン、すなわち意匠が意匠原簿に登録されることで発生します。
意匠原簿に新たな意匠権を登録(設定の登録)するのは、お客様自身がするのではなく、行政機関である特許庁が行います。イメージ的には、自分の土地を登記官に申請して、登記簿に登記してもらうといった感じです。このたとえでいうと、お客様に代わって土地の登記手続きを行う司法書士の役割にあたるのが、ちょうど意匠登録手続きを行う弁理士の役割です。
つまり、意匠原簿に意匠を設定の登録をする行政処分だから意匠登録というのですね。
意匠登録料
意匠登録を維持するために毎年、特許庁に支払う印紙代です。
特許庁に意匠原簿にお客様の意匠を登録をしてもらう、またその後、意匠原簿に登録したままの状態で維持するためには、特許庁に料金を支払う必要があります。
つまり意匠登録をしてもらう、さらに維持するための料金だから意匠登録料というのですね。
なお、意匠登録料の納付やその納付スケジュールの管理を特許事務所に依頼すると、「意匠登録料」とは別に、特許事務所の手数料(納付手数料や管理手数料)が発生します。
意匠登録出願
意匠登録を求めて、特許庁に願い出ることです。
特許庁は、新しい意匠を勝手に意匠登録することはありません。
お客様が創作した製品デザインを意匠登録したいと考えたときには、特許庁に「私の創作した製品デザイン(意匠)を登録してください。」と願い出る必要があります。
つまり、お客様が特許庁に意匠登録願い出る行為だから意匠登録出願というのですね。
意匠出願
「意匠登録出願」の略語です。
意匠登録出願が意匠法上正式な名称ですが、長いので意匠出願が略語として一般に使用されています。当サイトでも「意匠出願」の語を使用していることがあります。
「出願」と「申請」
どちらも、国や公共の機関などに対して認可・許可その他一定の行為を求める行為であることで共通していますが、出願」は、実体審査をパスしなければ認められない点が「申請」と異なります。
意匠法では、意匠登録には実体審査がありますので「出願」の語を使います。
実体審査とは、書類の所定欄に必要事項が記入されているかなどの形式上の審査ではなく、内容の適法性まで踏み込んだ審査のことをいいます。

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意匠登録出願の間違った名称

上述のとおり、「自分が創作した意匠(製品デザイン)を登録してください」と特許庁に願い出る手続きとしては、意匠登録出願が正しい名称です。
   その略語として広まっている意匠出願までは、一般的に許容できる名称です。

意匠申請」「意匠登録申請」「意匠権の申請」「意匠権の登録」などという呼び名は、使われている漢字が意味する内容からも正しい名称とはいえません。

しかし、意匠法の専門家である特許事務所や法律事務所のサイトでも、このような間違った名称で記載されていることがあります。
   特許事務所などは、間違っているのを知らずにこれらの用語を使っているとは思えません。むしろ一般の方が、意匠登録出願の代理を特許事務所に依頼しようとして、Yahoo!やGoogleで検索をしたときに、このような間違った名称を使ってしまっても、検索結果に自分の事務所サイトがヒットするように、わざと使用していると考えられます。
   ただそのような理由で、間違った呼び名がさらに広まるっていうのも多少問題があるような気がしますが。

〔関連条文〕

意匠法6条1項(意匠登録出願)
意匠登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書に意匠登録を受けようとする意匠を記載した図面を添付して特許庁長官に提出しなければならない。 (各号の記載略)
意匠法20条1項(意匠権の設定の登録)
意匠権は、設定の登録により発生する。
意匠法23条(意匠権の効力)
意匠権者は、業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。(以下略)
意匠法42条1項(登録料)
意匠権の設定の登録を受ける者又は意匠権者は、登録料として、第二十一条に規定する存続期間の満了までの各年について、一件ごとに、次に掲げる金額を納付しなければならない。
一     第一年から第三年まで     毎年八千五百円
二     第四年から第二十年まで  毎年一万六千九百円
(注:平成23年度改正時の金額)

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以上、意匠関連の説明をしてきましたが、ご不明な点や、更に詳しく知りたい点などございましたら、無料でお問い合わせをお受けしております。
   上に記載の電話番号またはお問い合わせフォームで、お気軽にご質問,ご相談ください。
   また本サイトの意匠登録 -HOME-には、意匠登録出願における当事務所の特徴なども掲載しておりますので、併せてお目通しいただければ幸いです。

最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。

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